2010年09月03日

NHKラジオと読売新聞の内容ご紹介

今日のNHK第一放送の「時の話題」の内容をレポートします。
(解説員の方にご了承いただきました。赤字、太字は中村)

問われる歴史的建造物の保存

関東大震災の後に建てられた復興小学校で、国の重要文化財級の価値があるとされる
東京中央区内の小学校が建て替えられることになり、校舎の解体作業が始まりました。
これに対して地域住民や建築学会が保存運動を続けています。毛利和雄解説委員に聞きます。

Q1 明石小学校の問題はこのところニュースでもしばしば取り上げられていますが、
何が問題になっているのですか?

A1 明石小学校は、復興小学校のひとつです。

関東大震災が大正12年(1923年)9月1日に起きました。震災の日はおとといでした。
壊滅的な被害をうけた東京や横浜の小学校を建て替えたものを復興小学校といいます。
それまで日本の小学校は木造の校舎が当たり前でしたが、復興小学校は、
当時では珍しい鉄筋コンクリートで建てられ、その後の小学校建築の基礎が築かれました。

明石小学校は、鉄筋コンクリート三階建てで、柱の形や建物の頂点がカーブするなど、
当時ドイツで流行ったデザインが取り入れられています。

日本建築学会では、明石小学校は、最初に設計に取りかり、それによって
復興小学校の設計の規格が作られたので、復興小学校を代表して
国の重要文化財級の価値があるとしています。

そこで、地域の卒業生や住民で作っている保存運動の人々や学会が、
きちんとした調査をして文化財指定をし校舎を保存するよう訴えています。

Q2 校舎を建て替える中央区は、どういう考えなのですか?

A2 矢田美英(やだよしひで)区長が、記者会見をして、今になって解体中止は難しい。
区民の間から老朽化しているので建て替えてほしいという要望が以前から出ていた。
教室や建物が手狭なので、教育環境の向上と防災拠点など地域の核となる施設の充実を
図りたいとして、建て替え計画を変える考えはないことを表明しました。

現場では、校門を防音壁で覆って、建物を象徴する正面玄関の部分から
解体作業が進められています。

Q3 地震が起こった際の耐震性に問題はないのですか?

A3 中央区では、明石小学校は建築後84年たって、コンクリートの劣化が進んでおり、
今後の児童数の増加に伴う教室の確保や体育館の拡張、バリアフリー化を考えると
今の校舎を残して対応することは難しいとしています。

それに対して、学会や地域の住民団体では、震災後の復興小学校は今とは違って
頑丈なコンクリートが使われているので、現在の建物を保存した上で再生する
リノベーションをすれば、現在の建物を残した上で校舎として使い続けられるとしています。

Q4 そうはいっても解体作業が進められている訳ですから、
時間的にも間に合いませんよね?

A4 中央区は、学会から重要文化財の価値があるという要望書が出てきたのが
7月になってからなので、遅すぎたとしています。

しかし、今回の件で問題なのは、文化財としての価値が事前に
十分検討されなかった点です。
区の教育委員会に文化財保護審議会があるにもかかわらず、
今回の件について諮られていなかったとして委員の間から批判が出ています。


ニュースで聞きつけた文化財保護審議会の委員の方々が解体作業が始ってから校舎を
見学し、それをもとに、明石小学校の「文化財的価値を損なうことなく、
保存・活用の措置をとることを強く要望する」という文言で、
事実上保存を求める要望書がおととい出されました。


Q4 復興小学校は、ほかにもありますが中央区はどのような考えで臨むのでしょうか?

A4 復興小学校で、今でも現役の小学校として残っているのは10校で、
そのうち7校が東京・中央区にあります。東京中央区では、
明石小学校を含む三つの小学校をまず建て替える計画です。
残りの4校のうち2校は、東京都の歴史的建造物に選定されていますので、
免震対策も含め今の校舎の保存・活用について調査研究したいとしています。

文化財に指定されたり、選定されたりしているものは重要で、そうでないものは
重要ではないという考え方に陥りがちなのですが、今回の明石小学校のように
住民の要望にこたえて学界で調べてみたら重要文化財級の価値がわかったように
文化財や歴史遺産の価値は新たに見出されていくものです。

そうした点も踏まえ、中央区の文化財保護審議会の要望書では、
中央区内には復興小学校だけでなく、震災復興に関わる建造物、史跡、名勝、文書、
歴史資料などの多くの貴重な文化財が残されており、また、中央区を初めとした
「震災復興の遺産」は「美しい日本の歴史的風土 100選」のなかにも
選ばれていることを指摘し、今回の明石小学校をはじめとする復興小学校の
改築問題を契機に、こうした区内の震災復興に関わる文化財の総合的な調査を実施し、
その適切な保存・活用に関する方針を立てることも提言しています。

都市の記憶を将来に伝えていくことは成熟していく日本、国際都市東京にとっても
大きな課題だと思います。


以上が放送の内容です。
文化財審議会、メディアなど、いろいろなところがまだ注目しています。
今後の、街の文化財のあり方が、明石小にかかっています。
毛利解説員のおっしゃったように、
国際都市東京に必要なものは、歴史ではないでしょうか。
敗戦からこちら、過去をすべて消し去りたいとでもいうように、
何でもかんでも新しくしてしまって、まるで別の国のようになってしまいましたが
そろそろそんな呪縛から逃れても良いのではないでしょうか。
先人の優れた足跡は、目で見える形で残っているものだけでも残すべきと思います。

もう一つ、読売新聞の記事もご紹介します。

以下抜粋。

「重文相当」明石小なぜ解体
区「仮校舎が長期間に」 識者「地域の宝、消える」

 1923年の関東大震災後に建てられた「復興小学校」の一つで、建て替えが進められる中央区立明石小学校では2日も、校舎2階の窓枠や壁などの解体作業が行われた。「重要文化財に相当する」などと高い評価を受けながら、着々と進む解体工事。建て替えを急ぐ区の姿勢に識者からは「文化財への認識が不足している」などと厳しい声も上がる。妥協点は探れなかったのか、検証した。(土方慎二)

(省略)

■半年でも登録 「もっと早く要望があれば、再考できたかもしれない」。先月26日の記者会見で矢田美英区長は、こんな言葉で再考の余地はないと強調した。

 区が例に挙げるのは、昭和初期に建てられた「明治生命館」(千代田区)。同ビルが重文に指定されるまで7年かかった点を挙げ、「重文指定に何年かかるかわからず、長期間、プレハブ仮校舎での勉学を強いられる」と説明した。

 区は、2年後の開校を目指し、のべ床面積が2倍となる新校舎の建築工事を発注済み。児童らは今月から仮校舎での授業を始めた。

 だが、元文化庁長官で神奈川県立外語短大の川村恒明名誉教授(文化財保護政策)は、「短期間で認められる登録文化財となった後で、重文指定に向けた調査や保存管理計画の策定に取り組んでも良かったはず」と区の対応を疑問視する。

(省略)

 川村名誉教授は、地域の財産である学校の所有者が区であることを強調し、「最も地域に近い自治体の区が文化財の価値を認識しなければ、地域の宝が消え、魅力ある町づくりも阻害される」と指摘する。今後の教育・文化行政に生かされるのだろうか。

全文はこちら

素人考えですが、そもそも文化財審議会という機関は
建築学会などの全国の建物が研究対象である研究者の方々の目が届かず、
調査が手遅れになって壊されることがないように
「地域の宝」を審議するためにあるのではないのでしょうか?

「地域の宝」にもっとも敏感でその価値を知っていなければいけない教育委員会が
なぜ、文化財審議会に諮ることもせずに改築を進めたのでしょうか?
それで、「建築学会が言うのは遅すぎる」と責めるのはお門違いでは?

これは、教育委員会が全然文化財の見識をお持ちでなかったということか、
それとも町の宝を積極的に壊そうとしていたのか、どちらかということですよね。

どちらにせよ、残念ですねぇ、区民としても、都民としても、国民としても。

posted by 中村 at 16:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 明石建て替え関連情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月02日のつぶやき

akashi77 / 中村敬子
たくさんの応援ありがとうございます。NHK第一放送(ラジオ)あす朝8:04〜「時の話題」と言うコーナーで明石の話題を放送するそうです。どうぞお聞きください。 #akashi_hozon at 09/02 23:45

akashi77 / 中村敬子
ありがとうございます。RT @ajianhana 先程NHK-FMの18時50分からのニュースで、明石小学校について報道していました。突然情報が流れたのでびっくりしたのと、本格的に工事が始まったという情報に、ちょっと泣いてしまいました。明石小の卒業生でもなく区民でもないのですが at 09/02 23:44

akashi77 / 中村敬子
ありがとうございます。RT @nyanyanchi お疲れ様です。文化財審議委員の先生の提言が出たとのこと。それを無視してまで明石小学校を解体する中央区の姿勢にやはり強く疑問を感じます。まだ復旧の可能性があるならば大変だろうけれども本当に辛いだろうけれどもがんばってください。 at 09/02 23:44

akashi77 / 中村敬子
NHK第一放送(ラジオ)あす朝8:04〜「時の話題」と言うコーナーで明石の話題を放送するそうです。どうぞお聞きください。 at 09/02 23:28

akashi77 / 中村敬子
もうそろそろ諦めろよ、と言われるのでしょうが、そう簡単にあきらめられるような建物じゃないから、まだ諦めません。「ご理解ください」という言葉に対して、「はい」とは言えません。少なくとも私は言いません。そしたら「納得頂いた」と言われてしまうのでしょう? #akashi_hozon at 09/02 17:49
posted by 中村 at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 保存活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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