2010年09月27日

NHKラジオ「時の話題」

こんばんは。
ツイッターには書いていたのですが
家のPCのルータ設定を誤って変えてしまって大騒ぎでしたが
先程なんとか復活できました!メール等も無事に届いています。
お騒がせいたしました。

今朝のNHKラジオの内容をご紹介します。

「都市の記憶を失う前に」

関東大震災の後に建て替えられた復興小学校のひとつで
重要文化財級の価値があるとされる東京中央区の明石小学校が
建て替えを前に、解体作業が続けられています。
一方、東京千代田区では復興小学校の校舎を保存・再生させて
使い続けられるかどうか教育環境の調査を行うことになりました。

都市の記憶を伝えていく上で重要な役割を果たす歴史的建造物の
保存問題について毛利和雄解説委員に聞きます。

Q1 東京中央区の明石小学校は、建て替えのために
解体作業が始まったことは、今月はじめにこの時の話題でも
お伝えしましたが、千代田区の九段小学校は
保存再生することになったのですか?

A1 関東大震災の後に建て替えられた復興小学校は
建設後80年余りたっていますが、明石小学校の建て替えを機に、
他の復興小学校や戦前に建てられた小学校について
歴史的な建物としての価値がある校舎は保存再生、
リノベーションして使い続けられないかどうか関心が盛り上がってきています。

復興小学校は117校あり、現在も校舎として
使い続けられているのは10校です。このうち千代田区の九段小学校は、
9月16日日に区議会で取り上げられ、石川雅己区長が、
「『保存』を含め、基礎調査を行う」と答弁しました。
これは保存再生が決まったということではなく、
他の小学校も含め教育環境を改善するには
どのような整備手法があるか調査する。
その結果、九段小学校を保存できることがわかれば、
保存の方法を考えるということです。

Q2 解体作業が始まった明石小学校は、
事前に校舎を保存できるかどうか調査はされなかったのですか?

A2 耐震調査が行われ補強工事が行われています。
したがって耐震性能はとくに問題ないのですが、
コンクリートの中性化がかなり進行していると
区では説明しています。それに加え中央区では、
児童の数が増えてきている中で教育環境の整備を図ることと
地域の防災拠点としても整備するには建て替えのほうが
望ましいとして建て替えることを決めたとしています。

解体作業は、建物を象徴する玄関から始め、作業が続けられています。

Q3 千代田区は、明石小学校の建て替えに
批判的な報道も多いし、そうしたことを意識して
保存の検討を始めることになったのですか?

A3 その辺は微妙なところでしょう。
もっとも千代田区の石川区長は、九段小学校は区の
「景観まちづくり重要物件」に、また国の「近代化産業遺産」に
選ばれているので、保存に向けて調査することにしたと説明しています。

二人の区長の判断の違いが対照的ですが、思い浮かぶのは
2年前の正月に派遣切りにあった人たちの宿泊場所を確保できるかどうかが
問われた年越し派遣村の時のことです。
厚労省が区の施設を提供するよう千代田区に要請したのに対し、
千代田区長はまずは国が対処すべきだとして断った。
しかし、中央区の矢田美英区長は空き校舎を提供したことがあります。
年越し派遣村の問題だけでなく、今回の問題でも、
最後は区長の決断によるところが大きい訳ですが、
結果は今回も対照的となりました。

もっとも老朽化した校舎を保存再生し
使い続けられるかどうかの判断は、
個人の恣意的なものであってはならないし、
科学的な調査をもとにしたものでなければなりません。
九段小学校の今後の調査結果を待ちたいと思います。 

Q4 歴史的な校舎の保存は難しい問題ですね?

A4 その通りですが、東京の中心部における小学校の場合は、
都心回帰に伴って超高層マンションがあいついで建ち、
児童数が増えているという問題も重なっています。
かつてはドーナツ化現象に伴って、東京の中心部の小学校は
統廃合が行われていましたので建て替えの必要性も薄かったのですが、
今度は児童の増加の対応に迫られているという背景があります。

そうした事情がありますが、文科省が学校の校舎建て替えを認め
補助金を出す算定基準のなかに、歴史的な価値の高い学校の校舎を
保存していこうという動機づけが働く基準がないことが
問題だという指摘も出ています。

校舎には児童や父母、卒業生の思い出がこもっています。
名古屋市長の河村たかしさんが衆議院議員の時に
「母校の校舎を建て替えで壊すな。名古屋に恥をかかさんでくれ」と
校門に座り込みをした愛知県立旭丘高校の建て替えの問題の時にも
算定基準の問題が指摘されました。
その時から何年も経ちますが、そのままになっています。
文科省は、この点は、ぜひ改善してもらいたいものです。

Q5 歴史的な建物を将来に伝えていくために、
さまざまな問題が浮かび上がってきている訳ですね?

A5 都市の記憶を将来に伝えていくために、
さまざまな対策が必要だと思います。そのひとつとして学校だけでなく
歴史的建造物の悉皆調査をやる必要があるのではないでしょうか。
建て替えるか、それとも保存再生するかを、
その必要に迫られて場当たり的な判断をするのではなく、
建物の歴史的な評価を普段からしておく必要があると思います。
という提言をしますと、民間所有の建物は所有者の
理解が得られなければ、調査もできないという反論が返ってきます。
そうだとすれば、まず学校を含め公共建物を手始めに
近代の建物の歴史的価値の調査に国が主導して
取り組む必要があるのではないでしょうか。

成熟する日本、国際都市東京にとって都市の記憶を
未来に伝えていくことは大きな課題です。


以上です。
「都市の記憶」という言葉が印象的ですね。
お話の中に出てきた旭丘高校の建て替えを巡る経緯は
「消された校舎―旭丘高校校舎建て替えてんまつ記」に詳しく書いてあります。
算定基準というのは、私も専門ではないので良くわかりませんが
この本によると、何かしらの計算方法で点数をつけ
一定の点数がとれない建物に対して
「この建物は危険で建て替えたほうがいいから、補助金を出します」という
制度があるようなのです。
この計算が、どうやら築四十数年以上の場合、ものすごく不利なのだそうです。
旭丘高校も、コンクリートの質は高く、その他の部分での点数は
とても高かったにもかかわらず、築年数がその基準以上であったがために
ある部分での点数が0点になってしまったそうです。
(ということは、もちろん明石も、他の復興小も同じですよね)
ですから総合得点はもちろん低くなってしまう、ということです。

文科省は文化財保護しなければいけない立場でありながら、
この上のような計算での建て替え補助金を出すことで、
図らずも文化財破壊に補助をしているという、
とても変なことになっています。
確かに戦後の建物では、本当にとても危険なものもありますから
むしろそういったものを優先的に補助金出して建て替えて欲しいですし。
もっと違う算定方法を考えるべきですよね。

これは毛利解説員のおっしゃるように、ぜひ変えてほしいです。
この運動も、そのうち出来たらいいなと思います。

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